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居抜き物件コラム

食料品1%減税で飲食店はどうなる?

経営全般

2026.08.9

食料品1%減税で飲食店はどうなる? 食料品の消費税率を8%から1%へ引き下げる政策が議論されています。 「食料品が安くなるなら良いことでは?」 「飲食店も仕入れ…

食料品1%減税で飲食店はどうなる?

食料品の消費税率を8%から1%へ引き下げる政策が議論されています。

「食料品が安くなるなら良いことでは?」

「飲食店も仕入れが安くなるから助かるのでは?」

そう考える方も多いと思います。

もちろん、家計の負担を軽減するという意味では、食料品の減税には大きな意味があります。

しかし、店舗物件を扱い、多くの飲食店の出店や閉店を見てきた私たちからすると、もう少し広い視点から考える必要があると感じます。

なぜなら、食料品の税率だけが大幅に下がり、外食が10%のままなら、飲食店経営には別の影響が生まれる可能性があるからです。

今回は政治的な賛否ではなく、「飲食店経営」という現場の視点から考えてみます。

飲食店経営で重要な「FLR」

飲食店経営を考えるうえで、重要な指標の一つが「FLR」です。

F=Food(食材費)

L=Labor(人件費)

R=Rent(家賃)

例えば、一つの目安として、

食材費30%

人件費30%

家賃10%

とすると、FLRだけで売上の70%になります。

月商1,000万円の飲食店なら、

食材費300万円

人件費300万円

家賃100万円

これだけで700万円です。

「それなら300万円残るのでは?」

と思われるかもしれません。

しかし、300万円が利益になるわけではありません。

ここからさらに、

電気代、ガス代、水道代、広告費、予約サイト費用、キャッシュレス決済手数料、消耗品費、清掃費、修繕費、通信費、保険料など、さまざまな支払いがあります。

さらに借入金や設備投資の返済による資金流出もあります。

その結果、月商1,000万円あっても、最終的な利益が50万円程度ということも十分考えられます。

つまり飲食店は、売上が大きくても利益率は決して高くない商売なのです。

食料品の消費税が1%になったら?

ここで消費税について簡単に考えてみます。

例えば飲食店が税抜300万円の食材を仕入れているとします。

消費税率8%なら、支払額は324万円です。

これが1%になり、税抜価格が300万円のままなら303万円になります。

21万円支払いが減ります。

一方、飲食店が納める消費税は、原則として売上で預かった消費税から、仕入れなどで支払った消費税を差し引いて計算します。

そのため食材の税率が下がれば、仕入時に支払う消費税が減る一方、仕入税額控除も減ります。

重要なのは、仕入税額控除が減ること自体で飲食店が損をするわけではないということです。

税抜価格が変わらず、税率低下分だけ税込仕入価格が下がれば、基本的にはその分が対応します。

問題は、その先です。

税率が7%下がれば仕入価格も7%下がるのか?

食料品の税率が8%から1%になったからといって、飲食店が支払う仕入価格まで必ず同じ幅で下がるとは限りません。

食品メーカーや卸売業者、物流会社、生産者も、

原材料費

燃料費

電気代

人件費

物流費

包装資材費

保管費

などの上昇に直面しています。

例えば、税抜100円の商品なら現在は税込108円です。

単純に税率だけ1%になれば101円になります。

しかし、原材料費や物流費などの上昇によって税抜価格そのものが105円になれば、

105円+消費税1%=約106円

です。

消費税率は大きく下がったのに、実際の支払額は108円から約106円にしか下がりません。

ここで問題なのは「仕入税額控除が減ること」ではありません。

減税分が価格低下として十分に反映されず、税抜仕入価格そのものが上昇すれば、飲食店の原価負担は期待したほど軽くならない

ということです。

大きな問題は「食料品1%・外食10%」

私たちが特に注目したいのはこちらです。

食料品が1%になっても、外食が10%のままだとすれば、

スーパーなどで食料品を買う → 1%

テイクアウトする → 1%

飲食店内で食べる → 10%

という大きな税率差が生まれます。

もちろん外食には、料理だけでなく、

調理

接客

空間

サービス

片付け

などの価値があります。

ですから税率差だけで、すべてのお客様が外食をやめるわけではありません。

しかし物価高で家計が苦しいとき、

「外食を一回減らそう」

「今日はスーパーで買って家で食べよう」

という消費行動が増える可能性は考えておかなければなりません。

飲食店にとって怖いのは、この数%の客数・売上の変化です。

売上が5%落ちる意味

例えば、

月商1,000万円

営業利益50万円

の飲食店があったとします。

利益率は5%です。

ここから売上が5%減れば、売上は50万円減ります。

もちろん売上が減れば食材費など一部の変動費も減りますから、そのまま50万円すべてが利益減少になるわけではありません。

しかし、

家賃

正社員の給与

設備費

保険料

などは、売上が減ったからといって簡単には減らせません。

だからこそ、薄利で営業している飲食店にとって数%の売上減少でも経営への影響は大きいのです。

飲食店は小さな変化の積み重ねで苦しくなる

飲食店が閉店する理由は、一つとは限りません。

食材費が少し上がる。

人件費が少し上がる。

電気代が上がる。

物流費が上がる。

家賃が上がる。

キャッシュレス決済手数料がかかる。

予約サイト費用がかかる。

そして客数が少し減る。

一つ一つを見ると小さな変化です。

しかし利益率5%の店にとって、複数の負担増が重なれば、その5%の利益がなくなることがあります。

飲食店を苦しくするのは、一発の大きな負担だけではありません。

小さな変化の積み重ねなのです。

だから出店時の家賃が重要になる

ここで店舗物件にも関係してきます。

飲食店を開業するとき、

「この家賃なら払える」

だけで物件を決めてしまうのは危険です。

例えば月額家賃が10万円違えば、年間では120万円違います。

5年間なら600万円です。

開業時には売上を大きく想定しがちですが、経営ではむしろ、

「売上が10%落ちても払える家賃か」

「原価が3%上がっても利益が残るか」

「人件費が上がっても経営できるか」

まで考える必要があります。

大切なのは、

「払える家賃」ではなく「利益を残せる家賃」

で物件を選ぶことです。

居抜き物件でも投資しすぎない

同じことは開業資金にも言えます。

居抜き物件を借りても、大規模な改装をして多額の設備投資をすれば、毎月の返済負担が大きくなります。

売上が予定通りなら問題ありません。

しかし、

原価高

人件費高

光熱費高

客数減少

が重なったとき、借入返済が資金繰りを圧迫します。

飲食店経営では、

「いくら売れるか」

だけではなく、

「予定より売れなかったときでも生き残れるか」

を考えることが重要だと私たちは考えています。

減税そのものが悪いわけではない

食料品の消費税を下げ、家計負担を軽減する考えそのものを否定するものではありません。

大切なのは、制度全体を見ることです。

消費者だけではなく、

生産者

食品メーカー

物流会社

卸売業者

小売店

飲食店

消費者

まで一つの流れとして考える必要があります。

食料品だけ税率を大きく下げれば、外食との税率差も大きくなります。

制度変更に伴ってレジや会計システム、商品マスター、請求書、経理処理などへの対応も必要になります。

期間限定なら、元に戻す際にも再び対応が必要になります。

大企業なら専門部署があります。

しかし個人経営の飲食店では、営業を終えたオーナー自身が対応することも珍しくありません。

制度を考えるときには、こうした現場の負担まで見る必要があります。

プロスパープロジェクトが考える店舗選び

私たちは名古屋・愛知・岐阜・三重・浜松を中心に、飲食店をはじめとする店舗物件や居抜き物件を扱っています。

店舗物件を紹介することが仕事ですが、単に、

「良い物件だから借りましょう」

とは考えていません。

店舗は借りることが目的ではありません。

借りた後、商売を続けて利益を残すことが目的です。

食材費も上がる。

人件費も上がる。

光熱費も変わる。

税制も変わる。

消費者の行動も変わる。

だからこそ物件を探すときには、現在の売上予測だけではなく、環境が悪化したときまで考えて家賃や初期投資を決めることが重要です。

食料品1%減税についても、

「減税だから良い」

「飲食店には悪い」

という二択ではなく、

誰の負担が減り、消費者の行動がどう変わり、その結果として店舗経営に何が起こるのか。

そこまで考える必要があるのではないでしょうか。

店舗経営は、目の前の数字だけでは判断できません。

良いときだけを想定するのではなく、悪くなったときにも耐えられる店をつくる。

それが長く商売を続けるための、店舗選びの大切な考え方だと私たちは考えています。

店舗運営でのお悩みは、出店のご相談も、閉店のご相談も、お気軽にお問い合わせください。

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